PSO エピソード ウサムク/第1話

+-+-+ おんじの館 +-+-+

−タイレル総督の部屋

「では、ウサムク、マックガール、モーリスの3名は、居住区中心にあるセントラルホールの周辺地域の実地調査をお願いする」

偶然出会った3人のハニュエールたちは、なりゆきでパーティーを組んでいた。…というよりも、偶然ラグオル調査部隊EOPに3人とも配属されてしまったのだ。EOPといえば最近編成されたばかりの調査部隊で、常駐のハンターが不足しているためか、駆け出しのハンターたちにもラグオルに降下することが多い。今回もそんな事情でウサムクたち3人に任務がまわってきたのだ。

−シティにて

「居住区を抜けて森にいくんだろ?」
「ああ、そうだけど。あたいは一回いってるからだいたい様子はわかってるけど」
「ふーん、マクガって任務に出たことあるんだ」
「まー親父と一緒にいっただけだけどな」
「えー、マクガさんのお父様ってハンターなんですか?」
「昔ね」
「じゃーさ、じゃーさ、森ってさどんなエネミーでるの? 超こわいんですけど」
「ブーマとかブーマとかブーマとかブー…」
「マクガさん頭わるいんですか? さっきから同じことばっかりいってますよ」
「うっせーんだよ、モーリスは。ギャグだよギャーーグ!」
「ぎゃはは、髪たてすぎてバカになったんじゃねーの。まーいいや。じゃあさ、それぞれ好きな武器揃えて、ギルドの前に集合しようぜ!」
「わっかりましたー」
「はいはい、ったく遊びじゃねーんだけどな…」

と3人のハニュたちは武器商の集まる第3区域へそれぞれ向かっていった。

−1時間後

ソードを2本買ってきたウサムク。マシンガンを買ってきたマクガ。モノメイト10個とダガーを買ってきたモーリス。

「あのさー、2本もソードかってきてどーするわけ?」
「えー、だって二刀流ってかっこいいじゃん」
「それさー片手用武器だから…。」
「マジで? ちくしょー。じゃーこれいらねー。」
「で、そこのお嬢ちゃんはピクニックいくんですか?」
「違いますよ。このダガーでブーマさんたちをサクサクっときるんですぅ!」
「ほー。」
「まーいいわ。んでだ、森っていいてもな、今は獣道しかなくて決まったルートがねえーらしいんだわ」
「なにそれ、道わかんないじゃん」
「そうですよ、わたしモスマントの巣にさわりたくありません!」
「だーかーら、あたいが情報をわざわざ聞いてきたんだよ」
「ふーん。で情報って?」
「あー、なんでも森の入り口にDGの館ってのがあって、ハンター初心者にマップをくばってるんだってさ。あと必要なら助っ人も用意してくれるらしいよ」
「えー、超いいじゃん。助っ人って男かな? メンズかな? イケメンかな?」
「わたし、男の人苦手なんです…」
「おめえーら彼氏探しにいくんじゃねーんだ。ったくとっとこDGの館だかなんだかにいくぞ」

−DGの館にて

うっそうと茂る森の入り口近くに一軒の建物がある。石煉瓦で作られたその建物の外壁には、草木の蔓が伸びあたかも大きな樹木のような姿をしている。おおよそ人の気配がなさそうなこの建物がDGの館だ。

「すいませーん! あたしウサムクっていうんですけどぉ〜。誰かいませんか?」
「おいおい、でけえ声だすなよ。エネミーがいるかもしれねーだろ」
「なんだよ、大丈夫だって…ほらこんな…」

ズルズル…

「!!」
「うわーーー、え、え、え、エネミーですよおお、ウサムクさんマクガさんどうしましょう!!」
「いくぞ!」
「お、おう。」

身構える3人の前に現れたのは年老いたフォマールだった。

「ふぉふぉふぉ…。お嬢ちゃんたちは、これから森に入るのかい? んー?」
「そ、そうだけどなんだよ、じいさん」
「ふぉふぉ、まーまー活きのいいことで…。ようこそDGの館へ。ここで暮らしとるカミオフ=ヤスというものじゃ…」
「えー、じゃあおじいさんがシティで紹介してもらったDGの館の管理人さんなんですかぁ?」
「そうともじゃ。じゃあさっそく森の生業をおおしえしようかの…」

ウサムクたち3人はしばらくカミオフから森についての情報と、エネミーについての手ほどきを受けた。さすがに森に根城を置くDGの館の館主だけあり、その知識は実践的かつ有益なものばかりだった。

「で、じいさんが助っ人になってくれるのかい?」マクガがそういうとカミオフは白く長い眉毛をピクピク動かしこういった。
「うんにゃ、わしゃもう年でな。長いこと冒険に出るのはちとしんどくての。その代わりといってはなんじゃが、一人うちに威勢のええのがおっての…」

というとカミオフは手に持つ杖で床を2回叩いた。

「およびですかカミオフ様…。」

と姿を現したのは、長身で全身黒いアーマーの若いハンターだった。長く青い髪を揺らしながら、ウサムクたちの前に歩み寄った。

「カミオフ様、もしやこの3人の助っ人をしろというのですか?」
「うむうむ。レイドもそろそろ独り立ちせにゃあかんからの。手始めにハンターの身を守るDG…、デモンガードの実力を試してみたくないかの?」
「それはそうですが…」

「おいおいレイドっていうのか? アタシはウサムク。こっちの緑はマクガ、そこでモノメイトくってるのはモーリスってんだ。よろしくな!」
「あ、ああ…」
「ふぉふぉ、何事も修行じゃて、いっておいでレイド」
「はい…。では改めて、私はハンターの身を守るデモンガードという職務についているレイドだ。しばらくの間お世話になる」
「はーい、よろしくー♪」
「あたいはマクガってんだ。よろしく機械犬!」
「わ、わ、わたしモーリスって…あっ!」

男が苦手なモーリスは緊張のあまりその場で転んでしまった。食べかけのモノメイトがレイドの頭の上に落ちた。

「きゃ〜ご、ご、ごめんなさい。全部あたしのせいにしていいですから〜!」
「…気にするな」
「なにやってんだよモーリス。」
「ぎゃはは、全部おまえのせいだって!」

3人のハニュの話し声と一人のヒューマーの咳払いがDGの館に響き渡る。

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