+-+-+ プロローグ01「コギャルハニュ『ウサムク』」
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−ハンターズギルドにて
「アタシはもーハンターだよぉぉ!! なんで特A危険区域(アルティメット)に行かしてくれないの〜!!」
「ですから、ハンターレベルが80にならないと行けないんですよ。ウサムクさんはまだ3じゃないですか…」ラグオル調査部隊専用区域通称「シティ」のハンターズギルドで騒いでいるハニュエールが一人。髪は白く、大きなピアスをして肌が浅黒い。格好も一応はハンターのそれだが、ラッピーのぬいぐるみを体中にいくつも付けている。普段化粧はあまりしないハニュエールにしては、ベタベタと付け眉毛やキツイ色の口紅を塗っている。惑星ラグオルから遙か彼方にある地球と呼ばれる星にいるらしい「コギャル」を意識した格好だ。
「もういいよ! 強い彼氏見つけて絶対行ってやるからぁぁ!!」
ウサムクと呼ばれるハニュエールは大きな声で「死ね! カウンターのクソババア」と叫ぶとどこかへ走っていってしまった。
+-+-+ プロローグ02「緑のハニュは脱獄囚」 +-+-+
「シップ内で犯罪行為を行った物は、その行為によって処罰が決定される。しかしハンターとしてラグオル圏への調査部隊に志願する者は、特例として身の自由を約束する。また、ハンターズギルドからの調査報告書の内容によっては処罰の減刑も考慮する」
これはシップを取り締まるSPG(シップポリスギルド)で定められた各種犯罪に対する法案の一つだ。自由という言葉に魅了されラグオル刑務所内ではハンターに志願する者が後を絶たないが、現実は調査中にエネミーに襲われ、命を落とす者も少なくないのだが…。
−ラグオル刑務所にて
「5018 マックガール。本日付けでラグオル調査部隊EOP所轄ハンターとして配属が決定した。ラグオルで起きた謎の爆発の真相をいちはや…」
「うっせーだよおっさん…。」
緑の服、緑の目、緑の髪。全身が緑色に染まったかのようなそのハニュエールは、荒々しくラグオル刑務所所長室のドアを閉め出ていってしまった。
「やれやれ…。相変わらずだな。まぁハンターになりたいと本人から言いだしたのだから喜ぶべきことかもしれないが…」
そういうと煙草を吹かした中年の男性はソファに身を下ろした。この男性はラグオル刑務所所長にして、昔は腕利きハンターとしていくつもの功績を挙げてきた男だ。身よりが無く、ハンターの武器を盗んではメセタに変えていたマックガールを引き取り、一人育てていた。自分の娘のように可愛がっていたのだが、マックガールといえば、生かされている自分に嫌気がさすと今まで何度も刑務所を逃げ出していた過去がある。いくら子供のしたこととはいえ犯罪は犯罪。家出とも言えるが、脱獄囚とも言えるのだ。
−シティにて
「ハハハ、これでアタシもはれてハンターってわけだ。さーって何すっかな。エネミーでも気分転換にぶっ殺しにいくか。」
そういって緑色のハニュはハンターズギルドに歩いていった。
+-+-+ プロローグ03「記憶のないお嬢様」 +-+-+
−ショップにて
「えーっと、モノメイト2個とダガーを一つくださいな」
全身白タイツで、髪の色が鮮やかなエメラルドグリーン色のそのハニュは、おっとりと買い物をしている。一見優しそうで、おおよそエネミーと戦いを繰り広げるハンターとは縁遠い彼女も、立派なハンターの一人である。名前はモリス。7才(人間でいうと15才程度)で記憶を無くし、以来自分探しの旅と称してハンターを続けている。
ドガ!
「ったくいってーな! どこ見て歩いてるんだよ。そこの白タイツ!!」
派手な服装をしたハニュエールが尻餅をつきながら叫ぶ。
「えーっと、私歩いてなんかいませんよ。立ってただけです。あなたが勝手にぶつかって…」
「ぬぬぬ、アタシがウサムク様って知っての言い訳か!!」
「ウサムクさんなんて知らないですぅ」
「ああ、このぉぉぉおおおう。」
「おいおい、そこの2人…。何ごたついてんだ。うるせーから消えな…」
全身緑色のハニュエールがウサムクたちに声をかける。
「あー、てめえこそ消えろよ、この緑オバケ!!」
「なんだと! このクソガキが」
「やめてください。私、モリスっていうんですけど、全部私のせいにしていいですから」
「ああん、てめえマゾか? このウサムク様がいてえっていってるんだよ」
「ほうーおめえ、ウサムクっていうのか、ちょっと森こいや」
「てめえこそ名前なのりやがれ!」
「アタシはマックガール!! 人呼んで女脱獄囚さ」
「まぁ脱獄囚さん…」
3人のハニュエールのケンカは延々と続いている。